経審

【2026年7月施行】経審改正の完全対策ガイド|W点の変更点と今すぐやるべき5つの準備

2026年3月7日
18分で読めます
行政書士 伊敷 紀巳雄
【2026年7月施行】経審改正の完全対策ガイド|W点の変更点と今すぐやるべき5つの準備

この記事で分かること

  • 2026年7月経審改正でW点がどう変わるか(自主宣言制度・CCUS・建設機械・社会保険)
  • 自主宣言制度(職人いきいき宣言)で+5点を取るための具体的な手順
  • CCUS加点の引き下げに対応し、合計点を維持する方法
  • 2025年7月施行済みの資本性借入金制度との合わせ技でP点を最大化する戦略

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経審2026年改正の全体像|建設業法全面施行を踏まえたW点の再編

結論として、2026年7月の経審改正は、改正建設業法(令和6年法律第42号)の全面施行と連動した改正です。『技能者の処遇改善に取り組む企業を、公共工事の入札で正当に評価する』という政策目的が根底にあります。

改正の背景

2025年12月に全面施行された改正建設業法では、『標準労務費』の導入や、労務費確保のための請負契約の適正化が柱となりました。この法改正に対応し、経審でも『技能者を大切にする企業かどうか』を評価軸に組み込む必要が生じたのです。

具体的には、W点の配点構成が再編され、新たな加点項目の新設と既存項目の見直しが同時に行われます。改正の柱は次の4つです。

改正項目変更内容点数への影響
自主宣言制度(新設)『職人いきいき宣言』による加点**+5点**
CCUS加点(見直し)最大15点から最大10点に引き下げ**最大-5点**
建設機械(拡大)加点対象の機種を追加**+1点以上の可能性**
社会保険(減点項目削除)未加入時の減点項目(各-40点)を削除**減点がなくなる**

> 実務ではこういう相談が多い

>

> 『CCUS加点が下がると聞いたが、何もしなければ点数は下がるのか?』という相談が増えています。結論から言えば、CCUSのみに依存していた事業者は確かに最大5点下がります。しかし、自主宣言制度と組み合わせれば最大15点(CCUS10点+自主宣言5点)を維持できます。改正の趣旨は『CCUSの活用と処遇改善の両方に取り組む企業を評価する』というものであり、両輪での対応が求められています。

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経審W点の主な変更点|自主宣言・CCUS加点変更・建設機械・社会保険

1. 自主宣言制度(職人いきいき宣言)の新設:+5点

2026年7月改正の目玉が、『建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度』(愛称:職人いきいき宣言)による加点です。

この制度は、建設企業が自社の立場(元請・下請・発注者)に応じて、以下の取組を宣言するものです。

  • **労務費の確保**:標準労務費を踏まえた適正な見積もり・契約の実施
  • **賃金の支払い**:技能者への適正な賃金支払いの実施
  • **CCUSの活用**:建設キャリアアップシステムを活用した就業履歴の蓄積
  • **宣言企業との取引優先**:自主宣言を行った企業との優先的な取引

宣言の申請は国土交通省のポータルサイトから行い、宣言が受理されれば経審で+5点の加点となります。宣言の申請受付は2025年12月12日から開始されており、既に申請可能な状態です。

注意点として、宣言は『いつから始めるか』『誰が責任者か』といった具体的な計画の記載が求められます。 形式的な宣言だけでは受理されない可能性があるため、社内体制の整備を先に進めておく必要があります。

2. CCUS加点の見直し:最大15点から最大10点へ

建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用に対する加点は、現行の最大15点から最大10点に引き下げられます。

区分改正前改正後
全ての公共工事現場でCCUS導入10点調整中
民間含む全現場でCCUS導入15点**最大10点**

ただし、前述のとおり自主宣言制度(+5点)と組み合わせることで、CCUS関連の合計加点は最大15点を維持できる設計になっています。つまり、『CCUSだけやっていればよい』から『CCUSの活用+処遇改善への具体的取組』の両方が求められる制度に変わったということです。

3. 建設機械の加点対象拡大

W7(建設機械の保有状況)の加点対象機種が拡大されます。これは、2024年1月の能登半島地震において、災害応急復旧に活躍したものの経審の加点対象外だった建設機械が存在したことが背景です。

現行の加点対象には、ショベル系掘削機、ブルドーザー、トラクターショベル、モーターグレーダー、移動式クレーン、大型ダンプ車、高所作業車、締固め用機械、解体用機械が含まれますが、建柱車やロードローラーなど、実際に災害復旧で使用された機械が追加される見込みです。

建設機械を多く保有する事業者にとっては、加点のチャンスが広がる改正です。対象機種の確定情報は告示で公布されますので、自社が保有する機械が該当するか確認してください。

4. 社会保険の未加入減点項目の削除

現行のW5では、雇用保険・健康保険・厚生年金保険への加入状況が審査され、未加入の場合は1項目につき-40点の減点となっています。これはもともと『加入で加点される』仕組みではなく、『未加入だと減点される』という減点項目です。

2026年7月改正では、この社会保険に関する減点項目が削除される見込みです。背景には、令和2年(2020年)10月の建設業法改正により、社会保険への加入が建設業許可の要件となったことがあります。許可業者であれば社会保険に加入しているのが当然の状態となったため、経審で改めて審査する意義が薄れたのです。

> 実務ではこういう相談が多い

>

> 『社会保険の項目がなくなると聞いたが、点数に影響はないのか?』というご質問をいただきます。現行制度では社会保険は『加点項目』ではなく『未加入時の減点項目』ですので、加入済みの事業者にとってはこの項目の削除による直接的な減点はありません。ただし、改正後のW点の計算式や係数が調整される可能性もあるため、最終的な影響はP点全体で見る必要があります。

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2025年7月施行済み改正との合わせ技|資本性借入金でY点・X2点を底上げする

2026年7月の経審改正対策を考える際に、2025年7月に既に施行されている『資本性借入金の自己資本算入制度』も見落とせません。W点の対策と併せてP点の総合的な底上げを図ることが重要です。

資本性借入金とは

資本性借入金とは、一定の要件を満たす借入金を、経審上は負債ではなく自己資本として扱うことができる制度です。2025年(令和7年)7月1日以降の経営状況分析の申請から適用されています。

資本性借入金として認められるための4つの要件:

  1. **償還期間が5年超**であること
  2. **期限一括償還**であること(分割返済は不可)
  3. **配当可能利益に応じた金利設定**になっていること
  4. **法的破綻時の劣後性**が確保されていること

Y点・X2点への具体的な影響

資本性借入金を自己資本に算入することで、以下の指標が改善します。

影響を受ける指標計算上の変化評点への影響
負債回転期間負債から控除Y点向上
自己資本対固定資産比率自己資本に加算Y点向上
自己資本比率自己資本に加算Y点向上
自己資本額自己資本に加算X2点向上

特に、自己資本がマイナス(債務超過)に近い事業者にとっては、資本性借入金の活用でY点・X2点の大幅な改善が見込めるケースがあります。

> 実務ではこういう相談が多い

>

> 『金融機関から借りている既存の借入金を資本性借入金に切り替えられないか?』という相談がありますが、4つの要件(特に期限一括償還と劣後性の確保)をすべて満たす必要があるため、既存の借入金をそのまま転換できるわけではありません。金融機関との交渉や契約条件の変更が必要になるため、顧問の税理士・会計士と連携して検討することをお勧めします。

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大阪府で経審を受ける建設業者が今すぐやるべき対策チェックリスト

2026年7月1日の改正施行までに、以下の項目を順番に確認・対応してください。

対策チェックリスト

  • **自主宣言(職人いきいき宣言)の申請を行う**:国土交通省ポータルサイトから申請可能。社内の責任者と実施時期を決めたうえで宣言する
  • **CCUSの運用状況を確認する**:現場での就業履歴の蓄積が適切に行われているか点検し、加点要件を満たしているか再確認する
  • **保有する建設機械を棚卸しする**:加点対象機種の拡大に備え、自社が保有する全ての建設機械をリストアップし、特定自主検査の有効期限を確認する
  • **資本性借入金の活用を検討する**:要件を満たす借入金がある場合は、経営状況分析で自己資本に算入できるか確認する
  • **経審の申請タイミングを検討する**:改正前後どちらの基準で受審するのが有利か、自社の状況に応じてシミュレーションする

申請タイミングの判断ポイント

2026年7月1日より前に経審を申請すれば、現行基準で審査されます。自主宣言の申請が間に合わない場合や、CCUSの加点が現行基準の方が有利な場合は、改正前に申請するという選択肢もあります。

ただし、審査基準日(決算日)との関係で申請時期は限られますので、無理に前倒しするとかえって不利になるケースもあります。P点全体のシミュレーションを行ったうえで判断することが重要です。

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まとめ|2026年7月経審改正はW点対策の見直しが必須

2026年7月1日施行の経審改正は、W点を中心とした改正であり、建設業者の『技能者を大切にする姿勢』が評価に直結する時代への転換点です。

改正のポイントを改めて整理します。

  1. **自主宣言制度(職人いきいき宣言)が新設**され、+5点の加点が受けられる
  2. **CCUSの加点が最大15点から最大10点に引き下げ**。ただし自主宣言と合わせれば最大15点維持が可能
  3. **建設機械の加点対象が拡大**され、災害対応力のある企業が評価される
  4. **社会保険の未加入減点項目が削除**される見込み(許可要件化に伴う整理)
  5. **2025年7月施行の資本性借入金制度**と合わせてP点全体の底上げが可能

何も対策をしなければ、CCUSの加点引き下げにより、P点が下がる可能性があります。逆に、自主宣言制度への対応と資本性借入金の活用を組み合わせれば、改正をチャンスに変えることもできます。

改正の施行まで時間的な余裕がある今こそ、自社の経審対策を見直す好機です。

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