特定技能

特定技能「建設」で外国人を雇うための完全ガイド ― JAC・CCUS・受入計画の手続きと費用

2026年3月9日
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行政書士 伊敷 紀巳雄
特定技能「建設」で外国人を雇うための完全ガイド ― JAC・CCUS・受入計画の手続きと費用

建設業の人手不足と特定技能制度の概要 ― 建設分野の業務区分を整理

建設業界は深刻な人手不足に直面しており、特定技能制度を活用した外国人材の受入れは今や現実的な選択肢のひとつです。ただし、建設分野は特定技能16分野(2024年3月閣議決定で自動車運送業・鉄道・林業・木材産業の4分野が追加)の中でも最も手続きが複雑な分野であり、通常の在留資格申請に加えて国土交通省への認定申請やJACへの加入など、建設分野独自の要件が複数あります。

業務区分は3区分に統合

建設分野の特定技能は、従来19に分かれていた業務区分が『土木』『建築』『ライフライン・設備』の3区分に統合されています。同一区分内であれば従事できる業務の幅が広がり、企業側の使い勝手が改善されました。

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特定技能「建設」の受入企業が満たすべき認定要件と手続きステップ

結論として、建設分野で特定技能外国人を受け入れるには、(1)建設業許可、(2)CCUS登録、(3)JAC加入、(4)建設特定技能受入計画の認定という手続きステップをすべてクリアする必要があります。さらに、受入計画の認定にはハローワークでの求人実績や安全衛生教育の計画など複数の認定条件が課されており、建設業許可・CCUS・JACだけ揃えれば済む話ではありません。

要件1:建設業許可の取得(業種問わず保有必須)

通常、軽微な建設工事(請負金額500万円未満等)のみを請け負う場合は建設業許可が不要ですが、特定技能外国人を受け入れる場合は業種を問わず建設業許可の保有が必須です。許可を受けていない事業者は、まず許可取得の手続きから始める必要があります。

> 実務でよくある相談

> 『外国人に従事させたい業種の許可を持っていないが問題ないか?』というご相談があります。認定基準上は業種を問わず建設業許可の保有が求められますが、実際に行う工事に対応した業種の許可がなければ建設業法違反になる可能性がありますので注意が必要です。

要件2:CCUS事業者登録と技能者登録の手順

CCUS(建設キャリアアップシステム)は、技能者の就業履歴や資格を蓄積・管理する仕組みです。受入企業の事業者登録と、外国人本人の技能者登録の両方が必要です。

事業者登録の流れ:

  1. CCUSの公式サイトからオンラインで申請
  2. 登録料を支払い(資本金に応じた金額、5年更新)
  3. 管理者IDの発行を受ける(年額11,400円)

事業者登録料(資本金別・税込):

資本金登録料(5年間)
一人親方0円
500万円未満(個人事業主含む)6,000円
500万円以上1,000万円未満12,000円
1,000万円以上2,000万円未満24,000円
2,000万円以上5,000万円未満48,000円
5,000万円以上1億円未満60,000円

※上記は中小企業向けの抜粋です。CCUSの登録料は資本金500億円以上(240万円)まで全12区分が設定されています。資本金1億円以上の事業者はCCUS公式サイトの料金表をご確認ください。

技能者登録は外国人本人の情報(パスポート・在留カード・資格等)をシステムに登録する手続きで、登録料は1人あたり簡略型2,500円、詳細型4,900円です。

要件3:JAC加入(正会員団体経由 or 賛助会員)と受入負担金

JAC(一般社団法人建設技能人材機構)は、建設分野の特定技能外国人の適正な受入れを推進する機関です。受入企業はJACに加入する義務があり、加入方法は2通りあります。

方法A:正会員団体経由(間接加入)

JACの正会員である建設業者団体(令和7年11月1日現在で56団体)のいずれかに所属すれば、JACへの加入要件を満たします。この場合、JACへの年会費は不要ですが、所属する建設業者団体の会費を負担する必要があります。

方法B:賛助会員として直接加入

JACに賛助会員として直接加入する方法です。年会費は24万円です。

> 実務でよくある相談

> 『正会員団体経由と賛助会員、どちらが得か?』というご質問を多くいただきます。正会員団体の会費は年額数万円程度のところも多く、賛助会員の24万円より安くなるケースが大半です。JACの公式サイトで加入可能な団体を確認しましょう。

受入負担金:

JACへの加入とは別に、特定技能外国人1人あたり月額12,500円(年額15万円)の受入負担金が発生します。教育訓練・巡回指導・母国語相談等に充てられ、外国人本人に負担させることは認められていません。

ステップ4:建設特定技能受入計画の認定申請

在留資格の申請とは別に、国土交通大臣に対して『建設特定技能受入計画』の認定申請を行う必要があります。大阪の企業は近畿地方整備局が管轄となります。

認定申請の流れ:

  1. 外国人雇用契約の締結
  2. 国土交通省の外国人就労管理システムからオンラインで申請
  3. 地方整備局による審査(補正期間を除き約1.5~2か月、地域によっては3~4か月)
  4. 認定証の交付
  5. 入管への在留資格申請(認定証交付後に許可が下りる)

認定基準の主なポイント:

認定にあたっては、以下の条件をすべて満たす必要があります。建設業許可・CCUS・JACの3点は前提条件であり、それ以外にも多くの審査項目があります。

区分認定条件
前提条件建設業許可の保有 / CCUS事業者登録 / JAC加入
欠格要件過去5年以内に建設業法に基づく監督処分を受けていないこと
求人実績申請日から直近1年以内に**ハローワークで正社員の求人募集**を行っていること
人数上限1号特定技能外国人の数が、技能実習生・特定技能外国人を除く**常勤職員の総数を超えない**こと
報酬同等の技能を有する日本人と**同等額以上の報酬を月給制**で支払うこと(日給制・日給月給制は不可)。技能習熟に応じた昇給があること
安全衛生**労働安全衛生法に基づく安全衛生教育**を実施すること
技能向上**5年間の在留期間を見据えた技能向上計画**を策定し、CCUSのレベル向上を図ること
受入れ後講習**特定技能スタートアップセミナー**(国土交通大臣が指定する講習、実施主体はFITS)を受講させること
事前説明賃金等の重要事項を外国人が理解できる言語で書面により事前説明すること
技能者登録外国人本人をCCUSに技能者登録すること

なお、在留資格認定証明書交付申請や在留資格変更許可申請との並行申請は可能ですが、入管の許可はあくまで国交省の認定後に下りる仕組みです。

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特定技能「建設」の費用の全体像 ― JAC費用・CCUS・在留資格申請をまとめて確認

特定技能「建設」で外国人を1名受け入れる場合の主な費用を整理します。企業規模や加入方法で変動しますが、目安は以下のとおりです。

費用項目金額(税込目安)備考
JAC年会費(賛助会員の場合)24万円/年正会員団体経由なら不要(団体会費は別途)
JAC受入負担金12,500円/月・人(年額15万円/人)外国人本人に負担させることは不可
CCUS事業者登録料6,000円~60,000円資本金に応じて異なる(5年更新)
CCUS管理者ID利用料11,400円/年毎年発生
CCUS技能者登録料2,500円~4,900円/人簡略型or詳細型
登録支援機関への委託費2万~4万円/月・人自社支援の場合は不要
在留資格認定証明書交付申請0円行政手数料は無料
在留資格変更・更新許可申請窓口6,000円 / オンライン5,500円2025年4月1日以降の申請分から改定。収入印紙で納付
行政書士報酬(在留資格申請代行)10万~20万円程度事務所によって異なる

> 実務でよくある相談

> 『初年度にトータルでいくらかかるのか?』というご質問が多いです。JAC賛助会員で登録支援機関に委託する場合、初年度は概算で60万~90万円程度(1名受入れ・行政書士報酬含む)が目安となります。正会員団体経由でJACに加入し、自社支援を行う場合はかなりコストを抑えられます。

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2025年4月施行の制度改正 ― 在留期間・届出・自治体連携の変更点

2025年4月から特定技能制度全体に関わる重要な改正が施行されています。建設分野にも直接影響があります。

主な変更点:

  • **在留期間の付与範囲拡大:** 特定技能1号の在留期間の付与単位が、従来の『1年を超えない範囲』から『3年を超えない範囲』に変更されました。ただし、実際に付与される期間は『3年』『1年』『6か月』『4か月』のいずれかで個別に指定されるため、常に3年が付くわけではありません。また、通算5年以内という上限は従来どおりです。
  • **定期届出の年1回化:** これまで四半期ごと(年4回)に提出していた定期届出が年1回に変更されました。初回の届出期間は2026年4月1日から5月31日までです。
  • **定期面談のオンライン対応:** 外国人本人の同意がある場合、登録支援機関等による定期面談をオンラインで実施可能になりました。
  • **市区町村への協力確認書の提出(新設):** 外国人の勤務地および住所地の市区町村に『協力確認書』を事前に提出することが義務化されました。初めて特定技能外国人を受け入れる場合は、在留資格認定証明書交付申請の前に提出が必要です。一度提出すれば、同一市区町村については2人目以降の提出は不要です。
  • **地方公共団体の共生施策を踏まえた支援計画:** 受入企業は、地方公共団体が実施する外国人との共生施策を踏まえた支援計画を策定・実施することが求められるようになりました。

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実務上の注意点・よくあるミス

申請の順序を間違えるケース:

建設特定技能受入計画の認定を受ける前に入管へ在留資格申請を行い、結果的に認定が下りるまで許可が保留されるケースがあります。並行申請自体は可能ですが、国交省の認定が下りなければ入管の許可も出ません。認定申請は早めに着手しましょう。

CCUS技能者登録の漏れ:

事業者登録は済んでいても、技能者登録(外国人本人の登録)を忘れているケースががあります。就労開始までに技能者登録を完了させる必要があります。

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まとめ ― 特定技能「建設」の手続きと費用を把握して確実に受入れを進めよう

特定技能「建設」は、建設業許可・CCUS登録・JAC加入・受入計画の認定に加え、ハローワーク求人・安全衛生教育・スタートアップセミナー受講など、他の分野にはない多くの認定条件が課されています。さらに2025年4月改正で協力確認書の提出や支援計画の策定も必要となり、手続きの全体像を把握しておくことがこれまで以上に重要です。

手続きの順序を間違えると数か月単位の遅延が生じることもあります。計画的に準備を進めましょう。

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