特定技能

育成就労制度で建設業はどう変わる?技能実習廃止と2027年施行前の受入準備ポイント

2026年3月10日
18分で読めます
行政書士 伊敷 紀巳雄
育成就労制度で建設業はどう変わる?技能実習廃止と2027年施行前の受入準備ポイント

この記事で確定すること

  • 育成就労制度の概要と技能実習制度が廃止される理由
  • 建設業者に影響する5つの主な変更点
  • その中の技能実習生に適用される経過措置
  • 監理支援機関の新しい許可制度と2026年4月からの申請スケジュール
  • 特定技能1号への移行ルートとの関係
  • 2027年施行に向けて今から取り組むべき準備事項

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育成就労制度とは何か

2027年4月1日から、建設業における外国人雇用の枠組みが大きく変わります。長年活用されてきた技能実習制度が廃止され、「育成就労制度」へ移行することが正式に決定しています。

2024年6月に「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律」(以下「育成就労法」)が公布されました。技能実習制度が「国際貢献・技能移転」という建前のもとで設計されていたのに対し、育成就労制度は「わが国における人材確保と外国人の育成」を目的として正面から掲げた制度です。

現時点の重要スケジュール:

  • 2026年2月:育成就労制度運用要領が公表
  • 2026年4月15日:監理支援機関の許可申請受付開始予定(入管庁「受け付けることを予定しています」)
  • 2026年9月1日:育成就労計画認定の施行前申請受付開始予定
  • 2027年4月1日:育成就労制度施行(技能実習制度廃止)

2026年2月に運用要領が発表され、制度の詳細がようやく明らかになりました。今年4月には監理支援機関の許可申請受付が始まる予定です。「まだ先の話」ではなく、すでに動き出している制度改革です。

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技能実習制度との主な変更点5つ

変更点①:制度の目的が変わる

技能実習制度は「国際貢献・技能移転」という目的を名目としていましたが、実態は人手不足を補う手段として使われており、制度の建前と実態の乖離が長年にわたって問題視されてきました。

育成就労制度では、「国内での人材育成・確保」を明確な目的と位置づけ、外国人労働者の保護強化も法律に直接盛り込まれています。この目的の転換は、受入企業側の責任の捉え方にも影響します。

変更点②:転籍が一定条件のもとで認められる

技能実習制度では、転籍(受入企業・職場の変更)が原則として禁止されていました。これが、劣悪な職場環境に置かれた外国人労働者がSOSを出せない温床になっているとして、制度廃止の主な理由の一つとなりました。

育成就労制度では、一定の条件を満たした場合に転籍が認められます。ただし、悪質なブローカーによる転籍あっせんを防ぐため、監理支援機関・外国人育成就労機構・ハローワークが連携して転籍支援にあたる仕組みが整備されます。

建設分野では転籍に関して分野特有の上乗せ整理があります。

2026年1月に閣議決定された建設分野の分野別運用方針では、以下の方針が示されています。

  • **転籍制限期間**:建設分野では当面2年とする方向で整理されています(一般の育成就労では原則1年)。これは建設工事の工期が長く、育成過程を途中で中断されると受入企業の負担が大きいことが背景にあります。
  • **転籍のための日本語要件**:A2.1相当以上の日本語能力が転籍の条件として設定される方向です。
  • **1年超の転籍制限を設ける場合の条件**:転籍制限期間を1年超とする場合には、受入企業による待遇向上策(賃上げ計画の提示など)の確保が求められる方向で整理されています。

これらの詳細は、施行に向けて告示・運用要領で確定していきます。確定前の段階では、管轄行政庁や監理支援機関に最新情報を確認する運用が安全です。

受入企業側から見ると、建設分野の転籍制限が2年となった場合でも、技能実習時代の「原則禁止」とは根本的に異なります。職場環境・処遇・教育体制の整備が、優秀な外国人材を確保し続けるための実質的な競争力になる点は変わりません。

変更点③:在留資格の名称が変わる

技能実習(第1号・第2号・第3号)という在留資格が廃止され、新たに「育成就労」という在留資格が設けられます。育成就労の期間は原則3年以内で、特定技能1号水準の技能・日本語能力の習得を目標とします。

> 【実務ではこういう相談が多い】

>

> 『技能実習の在留カードを持っている社員はどうなるのか』というご質問をよくいただきます。2027年4月1日の施行後も、施行時点で技能実習中の外国人については経過措置が設けられており、現行の在留資格のまま活動を継続できる場合があります。ただし更新のタイミングや技能実習の号数によって扱いが異なるため、個別に確認が必要です。

変更点④:監理団体が「監理支援機関」に変わる

現行の監理団体は、育成就労制度のもとでは「監理支援機関」として改めて許可を受ける必要があります。許可基準は現行よりも厳格化され、事業遂行能力・財政基盤・外部監査人の設置などが要件となります。

許可申請受付は2026年4月15日から開始される予定です(入管庁の公表に基づく)。

現在使っている監理団体が監理支援機関の許可申請をするかどうか、今すぐ確認しておく必要があります。許可を取得しない、または申請しない団体を使い続けることは、2027年以降できなくなります。

変更点⑤:育成就労から特定技能1号へのルートが整備される

育成就労制度では、修了後に特定技能1号へ移行するルートが制度として整備されます。ただし、育成就労を修了すれば自動的に・あるいは試験免除で移行できるという意味ではありません。

入管庁の整理では、特定技能1号への移行には引き続き以下の要件が必要です。

  • 技能要件:技能検定3級等または特定技能1号評価試験への合格
  • 日本語要件:日本語能力試験A2相当以上

育成就労の3年間でこれらの水準を身につけることを目標とした制度設計であり、育成就労を修了した外国人は技能・日本語双方の要件を達成していることが想定されています。しかし、要件を満たしていなければ移行はできないため、修了時点での要件充足状況を確認することが必要です。

育成就労(3年)→特定技能1号→(要件を満たせば)特定技能2号という長期的な在留・就労のキャリアパスが制度として明確になった点は、技能実習制度にはなかった大きな変化です。

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既存の技能実習生はどうなるか

2027年4月1日の施行後、既存の技能実習生への経過措置が設けられます。主なポイントは以下のとおりです。

施行前に技能実習を開始済みの方(2号まで):

施行日時点で技能実習中の外国人は、現行の技能実習制度が引き続き適用され、技能実習2号まで活動を継続できます。

技能実習3号への移行:

施行日(2027年4月1日)時点で技能実習2号の在留資格を持ち、かつ1年以上技能実習2号の活動を行っている方は、技能実習3号への移行が認められます。

移行期間の設定:

激変緩和措置として、施行後3年間(概ね2030年頃まで)は技能実習制度と育成就労制度が併存します。ただし、経過措置が適用される技能実習生が育成就労へ途中移行することはできません。

> 【実務ではこういう相談が多い】

>

> 『来年に技能実習2号が終わる予定の外国人がいる。更新すべきか、それとも特定技能に切り替えるべきか』というご相談が増えています。経過措置の適用関係は、施行日時点の在留資格・号数・実習期間によって異なります。一律に「もう更新できない」とは言えず、個別の状況に応じた判断が必要です。育成就労か特定技能かという選択ではなく、既存技能実習生ごとに在留の見通しを整理することが喫緊の実務課題です。

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建設業での育成就労受入のポイント

建設分野では、現行の技能実習の移行対象職種に対応した職種・作業が育成就労の対象として設定される予定です。受入企業側の基本的な前提条件として、以下が求められます。

育成就労には「単独型」と「監理型」の2つの受入方式があります。

  • **単独型**:受入企業が直接、育成就労外国人を受け入れる方式。監理支援機関は関与しません。一定規模の企業が自社内で育成・管理できる体制を持つ場合に利用できます。
  • **監理型**:監理支援機関を通じて受け入れる方式。中小建設業者の多くはこちらに該当すると想定されます。

監理型で受入企業に求められる主な要件(予定):

要件内容
建設業許可受入職種に係る業種の許可を保有していること
CCUS登録建設キャリアアップシステムへの事業者・技能者登録
監理支援機関の選定許可を受けた監理支援機関と契約し、監理型で受入
育成就労計画の認定育成就労計画の認定取得(施行前申請は2026年9月1日開始予定)

特定技能「建設」と同様に、JACを中心とした業界団体の仕組みとの連携も求められる可能性があります。詳細は施行に向けて順次明確になるため、監理支援機関や所管行政庁への確認が不可欠です。

> 【実務ではこういう相談が多い】

>

> 『型枠大工の職種で受け入れができるのか』『鉄筋工事は対象になるのか』といった職種確認のご相談が増えています。現行の技能実習の移行対象職種が基本的に引き継がれる予定ですが、受入企業が保有する建設業許可の業種との対応関係を確認しておく必要があります。無許可業種での受入は認められないため、職種選定と許可業種の整合性の確認は早い段階で行うべきです。

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今から取り組むべき準備チェックリスト

2027年施行まで約1年。準備が必要な事項を整理します。

2026年上半期(今すぐ):

  • 自社の監理団体に監理支援機関の許可申請予定を確認する
  • 既存の技能実習生の在留状況(在留資格・期間・号数)を一覧化する
  • 特定技能への移行が必要な技能実習生の移行タイムラインを検討する

2026年下半期(4月〜9月):

  • 監理支援機関の許可申請状況を確認・フォローする(申請受付:4月15日開始予定)
  • 育成就労計画認定の施行前申請に向けた書類準備(申請受付:9月1日開始予定)
  • 受入体制(労働条件・住環境・教育計画)を育成就労基準に照らして見直す

2027年施行に向けて:

  • 技能実習生の経過措置の適用可否を個別に確認する
  • 新たに育成就労での受入を行う場合は、育成就労計画の認定を取得する

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まとめ

育成就労制度は、建設業における外国人雇用の枠組みを根本から変える制度改革です。技能実習制度の廃止という大きな変化が迫っているにもかかわらず、多くの建設業者がまだ具体的な準備を始めていないのが実情です。

押さえるべきポイントは3つです。

  1. **監理団体の動向確認**:2026年4月15日から許可申請が始まる予定。自社の監理団体が許可を取得するかを早期に確認する。
  2. **既存技能実習生の在留管理**:経過措置の適用は個人の在留状況・号数・実習期間によって異なる。一律の判断は危険で、個別に状況を整理したうえで特定技能への移行計画を立てる。
  3. **受入体制の整備**:転籍が可能になることを前提に、労働条件・環境・教育体制を整えることが外国人材の確保につながる。

育成就労制度への対応、技能実習生の在留管理、特定技能への切り替えに関するご相談は、行政書士ARISEリーガルオフィスまでお気軽にどうぞ。

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